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福岡地方裁判所 昭和45年(ワ)1083号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔編注〕 本件については東地判昭四五・七・二〇本誌二五四・二七五のほか、同地判昭四二・一〇・一八本誌二一一・二〇三の理由中、原告深田の慰藉料につき判示するところのうち第二項(ハ)に説くところなどを参照されたい。

〔事実〕原告訴訟代理人は、「被告は原告らに対しそれぞれ金三三六、三四〇円およびこれに対する昭和四四年一一月一三日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決ならびに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、

一 <略>

二 <略>

三 訴外長柄ミキノは失業対策事業の労務者として働き、一ヶ月平均金一九、〇〇〇円の収入を得ており、年間の各季賞与を合せると、年収金二七八、〇〇〇円になる。同訴外人は死亡時満六三歳であつたからその平均余命は一五年であり、失業対策事業では定年もなく、七、八〇歳の高令者も働いているのが現状であるから、同訴外人の稼働年数も一五年であると考えられる。そこで、同訴外人が生活費として収入の三分の二程度を要していたので、得べかりし利益の喪失は金一、〇一六、七四八円となる。

278,000円×1/3×10.98(15年のホフマン係数)=1,016,748

四 同訴外人の慰藉料金二、〇〇〇、〇〇〇円と原告らが同訴外人の子であるからその慰藉料それぞれ金五〇〇、〇〇〇円。

五 原告らは同訴外人の葬式費用として金一二二、二七七円を支出した。

六 原告らは自動車損害賠償責任保険金として金三、七二〇、〇〇〇円を受領した。

七 原告らはそれぞれ前記三、四の損害を相続し、前記四、五の損害を合せ、前記六の損害の填補をした残金三〇六、三四一円について本訴を提起するに際し、弁護士小泉幸雄に委任し、それぞれ金三〇、〇〇〇円を同弁護士に支払う旨約した。

八 よつて、原告らは被告に対しそれぞれ右損害合計金二二六、三四一円とこれに対する不法行為の後たる昭和四四年一一月一三日以降完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

と述べた。

被告代表者は適式の呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、かつ答弁書その他の準備書面も提出しない。

〔判決理由〕原告主張事実は民事訴訟法第一四〇条第三項により被告において自白したものと看做す(もつとも、原告主張の損害額については自白の対象とならず、従つて裁判所はこれに拘束されない)。

右事実によれば、被告は運行供用者として自動車損害賠償保障法第三条により本件事故によつて生じた損害を賠償しなければならないので、損害額について考えると、第一二回生命表によれば満六三歳の女子の平均余命が16.06年であることは明らかであり、訴外長柄ミキノが失業対策事業の労務者ということを考慮しても、その就労可能年数は八年と見るのが相当である。そこで、同訴外人の年収金二七八、〇〇〇円から生活費としてその三分の二を要すると見るのが相当であるから、これを控除した金九二、六〇〇円を年別ホフマン式計算による一時額を求めると、金六一〇、一〇四円が同訴外人の逸失利益である。

92,600円×6.5886(8年のホフマン係数)=610,104円

次に、慰藉料は同訴外人のそれが金一、五〇〇、〇〇〇円、原告が同訴外人の子としてそれぞれ金五〇〇、〇〇円が相当と考える。以上の相続分および原告らの慰藉料に原告らの支出した葬儀費用(均分に支出したものと見る他ない)の合計額から原告らの自陳する保険金を控除すると、原告らの損害はそれぞれ金四、一二七円となる。そして、本件のような場合弁護士費用を原告らの損害と見ることはできない。

よつて、被告は原告らに対しそれぞれ右損害金四、一二七円とこれに対する不法行為の後たる昭和四四年一一月一三日以降完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるので、原告の本訴請求は右の限度で理由があるので正当として認容し、その余は失当として棄却すべきである。(富田郁郎)

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